叫び
これを家から出たと言っていいのか迷う作者です
照りつけるような日差しの中長袖長ズボンのジャージにキャップを被り背中には上半身が隠れるほどのリュックサックを背負い
森の中を500mlペットボトル片手に草木を掻き分け歩く
2m程にもなっているツルの一種だと思われる植物が辺りをおおっていて
足の踏み場には小石からこぶし大までの石が転がっていて舗装された道をあるくことが当たり前の現代の青年には歩くだけでも一苦労である
「て言うか 何でこんなことしなきゃなんねんだよ!」
「ダンジョンマスター何てなるべきじゃ無いんだろうな きっと」
彼が悪態をついていると見えてくる
不自然に草木が生えていない場所にこれまたおかしい土の洞穴とその中へと続く下り階段
「今後こそ頼むぞ ダンジョン」
この場所で3つ目である
ここもダメであればきた道を引き換えさなければならない
彼が自暴自棄ぎみになるのも無理はない
それ以前に何故一人でこんなよくわからない場所に来ているのか
何故ダンジョンマスターである彼がダンジョンを探しているのか
遡ること1か月前
「という感じで世界の敵としてダンジョンマスターは誕生したっきゅ」
「ちょっと待って ダンジョンマスター=世界の敵」
自分でも驚くほど声が震えていた
「ダンジョンマスター=俺
つまり世界の敵=俺
俺人類に命狙われるってこと?」
そりゃ声も震えるさ 動揺もする
「他人ならまだしも(嫌だけど)ご近所さんや友人や家族
に刃向けられて死ねぇ!て言われるってことか!」
客観的思考でもしなきゃ 平静を保てない
いや もう既に……
「そりゃ異世界になったらいいなとおもったことがあるから
自分がチートする妄想からあっけなく魔物に殺される妄想まで
いろんな事を想像上でやって来たが」
気付いたら涙が流れていた
二十歳になって泣くなんて情けないと
笑われるだろうか?
泣くなら誰の目にも映らないとこで泣けと窘められるだろうか
家族がいたらご近所さんに聞こえるから
恥ずかしい みっともない と 怒るだろうか
けど今だけは許してくれ
「人類皆敵はないだろぉ!
どうして俺が殺されなきゃならねぇ!
なぁ、教えてくれよ、
何で俺がダンジョンマスター何だ…」
叫んで
その後
俺は静かに泣いた。