この世界は刀剣世界グラディアトーレ
気が付くと森の中に倒れていた。
どこだ?ここは。
身体を確認するが異常はない先ほどまで部屋の中にいたジーンズ、シャツはそのままだ。
幸いなことにすぐにゲームに入るつもりだったのでブーツと腰のナイフは装備していた。
大会ではもちろん同ウエイトのダミーだが家での練習の時は本物のサバイバルナイフで体を動かしていた。
「まあこの二振りあればとりあえず木の実とかはとれるだろう。」
こんなことならサバイバルキット入りのアーミーナイフにしておけばよかったと思ったがまさかいきなり森の中にいるとは思うわけがない。とりあえずは移動するしかないか。
移動しようとした途端目の前にふわふわと浮かぶものがある
光は淡いが人のような形をしている。
とりあえずナイフを抜いて切りかかってみる。
ふわりと風船のようにナイフをよけたがそのまま勢いを増しおでこに当たってくる。バレーボールを顔に受けたような衝撃でぶっ倒れる。
「何するの!?こんなか弱い妖精にいきなり切りかかるなんて!!」
「か弱いのがぶち当たってくるなよ」
頭を押さえながら起き上がる。よく見るとプンスカしているような気がする。
妖精ねぇ初めて見たよ。このまま持って帰ってSNSにアップでもしてみるか
「あのー?言っておいてなんだけどハルト?だよね?」
「そうだけど?名乗ったか?」
「名乗ったんじゃないよ。ボクは晴人から出てきた刀精だから知ってるだけだよ。」
「どういうことだ?俺から出てきたって?」
妖精を持ってるなんてイタイ奴だったのか?俺?いや、確かに小学校低学年までユカの奴と一緒にプリキュア見てたけど。そんなことで俺が妖精を持つ理由なんか。え?変身するの?
「慌てないでよ、ハルト。説明するから」
ドウドウと抑えるように言う妖精
「まずこの世界は刀剣世界グラディアトーレ。晴人にわかりやすい言い方では剣と魔法の世界だね。」
「よくある話だな」
「そう、で、この世界ではみんな生まれたときからボクのような刀精をパートナーにしているんだ。そして刀精を通じて魔法を使うというのがこの世界ということかな」
まあ格闘ゲーマーとは言え健全な高校生男子。そういうシチュエーションには知識はある。
「いくつか聞いていいか?」
「答えられるかどうかはわからないけどどうぞ」
「まず俺が何でここにいるのか?その理由を知りたい」
「うーん。ごめんよ、よく覚えてないんだ」
考える仕草をした後謝ってきた妖精
「この世界の神が晴人を召喚したんだ。その時に神の意識は持っていたんだけど次元転移の間に晴人と融合したのでしっかり忘れちゃったんだよねぇ・・」
「おいおい!どうしろってんだよ!」
「だ、大丈夫だよ。もう一度聞けばいいことだし」
怒りに任せて妖精を掴む晴人にあわてて言う妖精
「王都の大神殿に行けば大丈夫だよ。そこでの祈りで多分何らかの信託が貰えるはずだから」
「その辺じゃダメなのか?」
「王都神殿はレイラインの交点上にあるんだ。だからそこくらいでないと信仰心の無いハルトの声何て届かないんじゃないかな?」
そういわれると王都に行くしかなくなる。およそ今の日本人高校生のどれだけに信仰心があるというのか
「まあ良いわかったよ。じゃあ質問その二だ。お前俺から出てきたって言ったよな?なにができるんだ?」
「見たいの?しょうがないな見せてあげるよ」
ない胸を張って威張る妖精。
「ハルト。どっちでもいいからナイフだして。」
いわれるままにホルスターから一本抜く。
「いい?見ててよ。刀剣起動!」
妖精が言うと刃先、柄が伸びてただのナイフが刃渡り50センチほどの剣になる
「どうだい。これが刀精の基本技能。刀剣起動だよ」
「ほー。物理的にはすごいけど。役に立たない技術だよな」
「なんてこというんだよ!」
「いや、だってこれ見てみろよ。刃部分は無いし、かといってこの質感から青銅だろ?とてもじゃないけど鈍器として使ったところで三回も叩きつけられないだろ。結果役ただずだなこれ」
「むー!それは晴人のレベルが低いからだよ!」
「俺のせいかよ!」
「そうだよ‼刀精はバディの人間のレベルでできることが上がっていくんだよ。まだ晴人はこの世界的にはレベル1だから起動しても刃も何もないものしか作れないんだよ!」
まあさいしょからそのサイズの剣になるのはすごいけど、と晴人には聞こえないようにつぶやく妖精
実際レベル1の魔力ではない。初心者があのサイズの剣を生成するだけで魔力枯渇で失神する。しかし平然としているなんてとんでもない。内心の驚きをおくびに出さず晴人の剣を戻しておく妖精だった。
いかがでしょうか。
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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~
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