パラノイア
本当は逆で一般に気付き難いが、むしろ創業者の多くは元々自信たっぷりどころか、一種のパラノイアである。パラノイアとは神経質な心配性の極致を意味し、例えば冷蔵庫の扉を閉じた時に、内部の灯りがちゃんと消えたかどうか気になって夜も眠れないーーー、みたいな「過度の心配性」の事である。
そんな心配性だったから、言い換えれば隅々まで神経を使う慎重さと用意周到な人間だったからこそ、失敗せず事業が成功出来たと言える。多くの人は創業者になった経験が無いし、本人も語らず外部から指摘もされないから、本当の処を知らないだけだ。米国アップルの創業者ステール・ジョブズ氏が典型的なパラノイアだったのはよく知られている。
偉大なジョブズと張り合う積りはないが、(一般的な人の平均に比べたら)ウチの夫婦は二人とも非常に神経質な部類に入る。筆者は根っからの胃弱で彼女は超が付く神経質。決して大雑把どころではない臆病者。
自信力が強かったから成功したのではなくて、成功した結果として厚かましいほどの自信力が備わったと言うのが正しいと思う。ウチの夫婦は起業し一緒に苦労を乗り越えて来た。となれば、「謙虚になれ!引っ込み思案になれ!」と言われても到底無理な話で、100万倍位の自信を持ってしまう。
これは心の驕りとかいうものとは少し違って、心理的に「自己の能力を、優れていると信頼し切る」と言った方が表現として正しい。松下幸之助に「謙虚たれ!」ともし誰かが進言したとすれば、「お前は、全く分かっちゃいない。自信を持つ経験をしろ!」と返される事だろう。




