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一方的に虐待されている

 先に筆者夫婦は「自信過剰」と述べたが、再度謙虚に考えてみても、矢張り自信は沢山ある方だと思う。考えてみる値打ちがありそうだ:会社の創業者とはそういうものだという気がする。規模を問わず世間を眺め回して分かる。


 故人となったが松下幸之助もそうだったし、活躍中のソフトバンクの孫さんも、日本電産の創業者永守さんもそうだ。テスラ自動車のマスク氏も同じ。松下幸之助が物怖じして引っ込み思案だったとか、マスク氏が気が弱いなんて聞いた事がない。自信は過剰で「たっぷり」ある。外にも数限りなく居て、どの会社の場合でも創業者の「自信たっぷりさ」は、うっとうしい位だ。政治家だが、矢張り故人の田中角栄も自信はたっぷりだった。


 こんなエピソードを読んだことがある:田中角栄を囲んで討論会をするという企画をやると、毎回決まって「田中角栄の話を聴く会」になってしまうと、企画者側が嘆いたそうだ。なに自信家とはそういうもので、辺りを圧して自然に声も一段高くなるものだ。


 業界で上位クラスといっても大手とは違い、ウチではあんまりぱっとしない名声しか無いが、配偶者も創業者の一人である。彼女の声も大きい。ささやき声で通る至近距離でも、人を身震いさせるほど大きな声で話す。聞いた話では、出席する近所の自治会(=目下、防犯部長)での発言でも、かなりやかましいらしい。


 家の中で夫婦二人が仲睦まじく話しているだけだのに、自信過剰同士で声が大きいからまるで喧嘩の売り買いをしているみたいだ。むろん黄色い声の方が勝っているから、筆者が一方的に虐待されていると隣近所で同情を買っているに違いないが。


 創業者たちを観て人は、あんなに「強い自己信頼力があって、自信たっぷりな人間だった」から、あんな風に世で成功したのかーーー、と思いがちだ。けれども、筆者の貴重にして神経質な体験から、これは明らかに「ノー」だ:


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