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ホームアローン

④75-700万

 「夫と死別して独身になる75歳以上の女性」は我が国に700万人いる。これは数年内に800万人に達するそうで、女が男より長生きするせいだ。

 こんなにどっさり居るなら、独身女を選り取り見取りだなーーーと不謹慎に考えるエッチな男が居るかもしれないが、「しかし、75以上の女じゃなあーーー」と、筆者は正直ためらうのである。


 先の独身となった年寄り女性の多くは、子供達と一緒に暮らしていると思いたい。けれども、これだけ膨大な数が存在するなら、多くのホームアローン(=たった独りぼっち。今日も丸一日誰とも話をしなかったおばあさん)がいる勘定になる。


 以前のエッセイでも書いたが、若い訪問セールスマンに口上手く騙されて高額商品を買わされた一人住まいの老女の話である。騙されたと知りながらも、彼女は検挙された若い男を庇ったと聞く:(玄関先で)自分と話をしてくれたからーーー、という理由だけで。他人事ひとごとながら切なくなる。


 歳が入っての寂しさは、若い人には分り難いと思うが、(男女を問わず)辛いものだ。筆者の母親(当時82)も、(夫婦仲は決して良くなかったのに)夫を亡くして一人になって、時々涙を流して寂しがったのを思い出す。時々出かけるスーパーマーケットで筆者より年上と思われるおばあさんが、よたよたカートを突いている姿を近頃「よく」見かける。ひょっとしたらホームアローンかもーーーという気がして、理由もなくカートを一緒に押して上げたくなる。


 目立たない弱者であるが故に、弱すぎて大きな声を挙げる事も無いから、若い人には問題自体の存在に気づき難いけれども、本当は大きな社会問題なのだ。こんな風に様々に思いやるのも、700万の数字が頭の隅にあるからであって、かと言って自分に何か役立つ事が出来る訳ではないが、少なくとも心優しくはなれる。



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