ヤスリの硬さ
√3を含めて先の数字は工学系の人なら当たり前だろうから、自慢するほどの事ではない。けれども必要に迫られて覚えているのだが、tan1°~tan5°までの三角関数の値を1°刻みで覚えている人は少なかろう。世の物理学者の中には(矢張り必要に迫られたのだろうが)対数表数ページをまるまる暗記している人がいたそうで、そういうのは天才に属するから、別格に置く。
外にも、ヤスリの硬さが硬度65(=HRc65)とか、ソケットなら45とか、安物の鉄なら20とかの数字も(意識して)覚えている。更には正六角形の一番長い角々の長さが平行幅の1.155倍なのも覚えている。
この辺りになると、何やら自慢めいて来るが、実は六角形とは「ナットの形状」(=筆者の商売道具)だから、(知っていて当然で)種明かしすれば驚くにはあたらない。ついでに先の三角関数は、筆者が仕事にしている開発業務に関係していて、ほぼ毎日参照する数字だ。
先の1.155を含めて、ウチの社員達全員は覚えるべき特別な数字が約30種くらいあって、覚える事を強制されている。ボルト径M36のトルク(=締め付ける力)は4000Nmなどの数字もその内の一つで、彼らには迷惑な話だが、数字の暗記は社長の深淵なる考えがあっての事だ。
数字を覚えるーーーと言うと、年寄りのボケ対策かいなと思われるが、これは外れで歳が入ったからやっている訳ではない。筆者に他の人と違う処があるとすれば、これがその一つかもしれない。
若い頃から心がけている習慣で、中年になって起業をして以来このクセは一層強まっている。数字を覚えるのは、趣味というよりは「必要に迫られて」やっている事だ。どんな必要かは追い追い述べる。




