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丁寧に生きる

 異論は少ないと思うが、最近偉さで際立っているのはウクライナのゼレンスキー大統領だと思う。報道で見る通り、文字通り生きるか死ぬか自分の命を掛けて人々を守る真剣勝負の実業の姿こそ、誰よりも偉いと(こっちなんか恥ずかしくて)頭が下がる思いがする。現代のジャンヌ・ダルクで、同国の国民の為だけでなく世界の人々の心の為にも頑張って欲しいと願う。


 そんな風に考えると八十ともなって、心境として世の中に(ゼレンスキー大統領を除いて)偉い人なんてそう多くは居ないーーー、と考えるようになった。むしろ、ツバメの生き方や庭木の成長や草花に深く想いを致すようになり、「人生とは今日一日の事である」との想いが一層深まっている。


 若い時よりも時間をいつくしみ「丁寧に生きる」ようになったのは事実だ。実際、階段を降りる時など愛するが如く手すりにしがみ付く丁寧さで、二・三段まとめてジャンプするなんて死に直結する荒業あらわざはやらない。


 「一個の人生にとって必要なのは、達成や完成と言う人生の時間ではなくて、今日はよい一日という人生の時間だ」というシェーカー教徒の教えがある。会社の経営者の立場としては、そんな事ばかりも言ってられないが、筆者個人としての生活は、先のつましい生き方にこそ共感を覚える日々である。



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