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ならば俺もーーー

 さて当たり前だが、子供時代には大人の時代がどんな風なものか、良くわかってなかった。同じように、大人になり社会に出ても、老人がどんなものか分かってなかった。第一自分が実際に八十になるなんで思ってもみなかった。女に関心を失い、体も衰えて死の恐怖におびえ、何となく灰色の生活の中で脳も半分以上ボケているーーー程度の理解だったから。


 けれども、実際に歳になってみて「ああ、なるほどこれが老人というものか」と実に身近に感じている。未知との遭遇みたいなもので、若い時に思い描いていた固定観念とは大分違った。


 例えば、(先のエッセイで書いたが)ツバメに持てて自分がイケメンだと勘違いするようになったのも老人になってからだし、何時までたっても性欲まんまんなのも意外で、更には夫婦関係に大事なのはセックスが一番で二番目が愛情だと長年信じていたのに、ひょっとしたら順序は逆かもしれんなと疑い始めたのも、間違い無く加齢のせいだ。


 仕事の面で言えば、若い時分には思いつきもしなかった困難な研究に挑み、七十八で新製品を次々発明出来た。世界屈指の能力も歳が行かないと発現しないものだとよく分かった。筆者を眺めて、「へえ、あの歳であんな事が出来るんだーーー、ならば俺も」と、栄光を求めて我が社の社員達の励みになっていると筆者は思いたい。



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