迅速な決断と荒っぽい行動
起業への関門は未だある:筆者がセールスマンをやった小さな会社には、筆者以外にも何人かの社員が在籍した。同じように「売り方・会社の仕組・経営テク」を学んだ筈だ。彼らにも独立や起業のチャンスに恵まれていたのだから、実行すればノーベル賞は貰えなくても成功出来たのではないかーーー。
けれども実際は、筆者以外に誰も実行しなかった。彼らと筆者を分けた違いは何だったろうか。ここに才能の出番がありそうで、答えは簡単に見つかった:
グループの中で筆者がトップセールスになれた事だと思う。「販売の腕さえあれば、オレは自分で食って行ける」と自信が持てた。腕で稼いだ自分の金を会社に巻き上げられたくないと考えた。こうなったら、何もせずにそのままズルスルと年齢を重ねてしまってはいけない、婚期を逃がすようなもので謙虚という小さな道徳も捨てた方がいい。取るのは迅速な決断と荒っぽい行動:独立起業しない手は無かった。ライバル会社を立ち上げた。
この決断が無謀でなかったのは、成功の道筋がはっきりと見えていたからだ:得意中の得意、何せ「売りさえすれば良かった」のだから。続いて、起業した会社がつぶれる事は有りえないと確信があった:何せ「売りさえすれば良かった」のだから。
起業した当時の気持ちをよく覚えている:トップセールスの人間が成功しないなら、世の中の一体誰が成功するというのだ!それ以外に条件が果たしてあるかーーーと考えた。会社とは何かを(小さな会社で学んで)「既に」よく判っていたのである。




