「押し込まれた」結果
本来の話へ戻す:将来へ向かっての生存率と困難さはさておき、先の①~③を実行すればよいのだから、起業は決して難しくはない筈だ。
とそう書いたもののーーー少しウソがある。本当は難しい部分が含まれている。一番難しいのは、実は人の勇気である:①の(高学歴の人が)「小さな会社に入社する」決断だ。
頭の良い人は学校の成績もよく、良い学校に入り、良い大学を出る。良い大学を出た人が、実態が小さな名もない会社へ就職先を選択するのは、とても勇気が要る。
有名大学で上位の成績だったとしよう。就職先として、(例えば)日立製作所からの誘いを蹴って、街中のお好み焼き屋に就職する勇気が果たしてあるだろうか? お好み焼きの代わりに、十数人の鉄工所に置き換えても同じことだ。殆どの人にそんな勇気はない。
大学で学んだ高度な知識は大手の会社でこそ生かせる面もあるから、猶更だ。これが同時に良い意味でプライドでもあるのだが、となると、起業は大きな勇気を要する行動だと判る。むしろバカに見える。
筆者だとしても、そんな難しさに挑戦する勇気は元々無かった。たまたま青天の霹靂で失職し、選択の余地無く零細会社に「押し込まれた」結果であって、「男は辛いよ」の通りで見通しはとりわけ暗かった。




