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へったくれも始まらない

 大学を出てサラリーマンになるには何もしなくても自然になれる。小学校を出たら自動的に中学生になれるようなものだ。

 一方で若い人には様々な夢がある。社長になって成功したい、起業したいと願望する学生は少なくない。こんな若者に対して、適切な助言を与えるシステムや講座が最高学府の大学に存在しないのは、随分片手落ちと思う。問題は、(創業して・成功した経験のある)講師が大学に存在しない事だろうかーーー。その気になれば講師不足には解決策があると思うから、根本は大学自体にそのような認識が不足しているせいだと思う。


 因みに、私がまだ二十代前半の頃の昔、「経営学入門」(大学教授で経営学者 坂本藤良著)という本が超ベストセラーなった事があった。いわゆる、会社を成功させる法である。私は独立に関心があったので購入して読んだが、ピンと来なかった。


 面白かったのは本の内容よりも、経営のプロの筈のこの学者が、(自分の経営理論に基づいて)後年会社の経営を実際に行った(家業を継いだ)のである。結果はーーー?ものの見事に倒産させた。経営論は机上の空論だったわけで、実にいい加減な学者だと思った。


 ここで長く書くつもりはないが、経営学者の最大の失敗は、マーケテイング(=販売・注文取り)の重要性を見落としていた点だ。企業の経営というものは、販売さえ上手くやれば、その他の資金繰り(お金の問題)とか在庫の回転率(経営効率)や、少々の経営テクの拙さはどうにでもなるものだ。会社が上手く行かなくなるのはお金の問題ではなく、実は販売の問題なのだ。

 注文取りだなんて、分野が違うから経営論学者には(夢にも)思いも付かなかったのだろう。しかし、これでは成功しない。


 外にも別口で、P.ドラッカーの経営学の有名な本がある。みな有難がるけれども内容は全て、会社設立後の運営や舵取りの仕方の話に限られる。販売にはビタ一文も触れていない。


 先の坂本藤良にしてもドラッカーにしても、出来た結果だけを後出しであれこれ論じるだけで一番肝心な「販売」を抜かしているのだ。そこが一番知りたい処だろうにーーー。会社は創始され、販売されなければドラッカーもへったくれも始まらない。確かーーー、松下幸之助は当時販売の神様と言われたんじゃなかったかな? 経営の神様とは言われなかったぞな。


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