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◎第八十五話:「明治ではない」の話 

◎第八十五話:「明治ではない」の話 

前置き:この話は先のエッセイ「亀が空を飛ぶ方法」の中で書いた一節へ、更に手を加えて再構築したお話です。

   *

 もう五十年以上も昔の話になる: 造船工学を学んだが、私は大学卒業時に就職先として主任教授から造船会社の大手K社を斡旋された。


 が、私はそれを断った。人が羨む一流会社である。当時は今と違って、主任教授の意向に逆らい難い処があり、絶対服従に近い。敢えて断わるには勇気が要ったが、こっちには理由があった。主任教授とは言え、同意する訳には行かなかった。


 教授の怪訝な顔へ、「会社が大き過ぎて、社長になれないから」と、恐る恐る応えたのを覚えている。


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