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責任の覚悟

 次に営業マンの場合:

「エッ、修理係のTさんがやるんじゃなくて、この修理全部私がやるんですか?」と、新人の営業マン。直すのは他人の仕事いうのがありありと見える。

「ああ、そうだけどーーー。自立心を養うために、ウチでは自分の担当顧客の修理分は、自分でやる事になってるんだ、営業マンであっても。その方が退屈しないだろ?」と、筆者。


「ええ、退屈はしませんがーーー、上手く直せるかどうか」

「営業マンのK君は、大学の文学部出身らしい。俳句が専門だよ。K君が直せるんだから、工学部出身の君ならもっと簡単さ」


「はあーーー。けれども、直して又壊れたらどうしましょう?」

「保証出来る直し方をすればいいんじゃないの?」と筆者。

 責任の持てる仕事ぶりをすれば、他人のチェックは不要である。


 責任感に耐えられず、(慣れない内は)緊張して泣いた人が過去に何人か居た。自由にやるのはうわべ楽しそうに見えるが、当たり前だが、自由にやった以上責任は自分持ちだから少々の覚悟が要る。

 自由に奔放にセックスを楽しんだら、生まれた子供を育てる責任が生じるのと同じ。金のないフーテン女が3人も4人も生んで、ほったらかしにする無責任が時々マスコミを賑わすが、そういう手合いは自由を与えられる資格が無い。


「自由にやらせて欲しい・能力を発揮したい・責任ある仕事を任されたい」と多くの人が言う。じゃあ、自由にやらせて上げようとなるのだが、遂行出来るだけの能力があるかどうかは別問題。能力とは学歴ではなく、「やる気の有無」と「責任の覚悟」である。


 そうなるように筆者が社員達を追い込んでいる訳では全く無いが、自由にやるとは案外難しい事なのだなと時々思う。

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