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フォルクスワーゲン

 証拠の一つに、過去三十数年に渡って歩んできたウチがそう:製品が売れ無く成れば(=過去に実際にそうなって、顔色真っ青※)、素早くレンタルビジネスを事業化したし、油圧レンチの売り上げが頭打ちになれば(=実際にそうなった※)、ドイツハノーバーの国際見本へ飛んで素早くボルトテンショナーメーカーと提携した。

※この時代に息の根を止められたメーカーは、業界に数社ある。


 やがて工具販売の全体的な衰退に気付き、特殊ワシャーや特殊ナットなど、工具とは分野が違う新製品を開発しようと熱中しているのが現状である。経営戦略の切り替えは、どの場合も大概たった数ヶ月あれば充分だった。

 自慢たらしくなるが、結果として創業当時の株価@10万円が、今では@500万円を超えている。配偶者の言う通り「私のお陰よ!」である。


 発育の様子を車に例えれば:会社には、創成期→発展期→安定期→再発展期のような、順序があるものだ。配偶者と二人で始めた会社の創成期は、会社を存続させ続けること自体が最大の経営課題だった。「のるか・そるか」の死に物狂い。筆者は賢いから乗る方に賭け、もっと賢い配偶者は反る方に賭けたから、流血は無かったが喧嘩が絶えなかった。

 当時乗っていた車は懐具合に見合う中古車ブルーバードで、配偶者は何時も助手席に座っていたから、至近距離で喧嘩をやり易かった。


 次の段階の発展期はホッと一息つきながら得意になれる。やっと、クラウンの新車に乗れるようになり、配偶者は助手席から独立して真っ赤なフォルクスワーゲンを楽しんだ。日本とドイツの関係となり、喧嘩が減った。


 安定期はウチで言えば「今の時期」で、同じ状態がもう10年以上続いており、会社が潰れるような気がしない。誘惑の多い時期で一時は一夫多妻も夢見たが、発明仕事以外に筆者は大して罪深い事はしていない。証拠に、夫婦関係は良好である。車はレクサスの高級車となったが、慣れないせいかあちこちぶつけちゃちゃくって、昨年は修理代が年間100万円を超えた。保険で処理したが自慢出来る訳ではない。


 筆者の開発した新製品類も寄与して、次の段階の再発展期は息子達の時代となる。呑気なもので、もうやる事は無くて左うちわのベタ甘な時代になるだろう。車はドローンになりそうだ。


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