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迎賓館の建設か

 と書けば、目標も無くて、いい加減で大きくもならず、「社長、遠方から東電が来るから実験室を片付けておいてくださいね」と言われるやらで、何が何やら分からない会社だが、意外や意外である! なぜなら:


 会社が古池みたいに停滞するかと一時は思ったが、誠に不思議な事に、利益は少しづつでも毎年増加し続けている。人数も増えず売り上げが増加しないのにーーー、である。利益率が向上し儲かる体質になった訳だ。流行りの言い方をすれば、「生産性が上がった」。

 あきれるほど単純な理論だが、これを眺めて税理士先生や銀行筋が大いに感心してくれたから、筆者は面目をほどこした。


 大手の下請けに属する事も無く独立独歩で、三菱・日立・東電・大林組・三井造船等の大企業から名も無い中小企業まで、数千社(数えた事はないが、ひょっとすると万を超えるかも知れない)と対等に満遍なく取引をしている。高い信頼を得ていると思う。


 そんな背景があるからか、概してウチの営業マンは気が大きくなって、北海道位に大きな顔をして台風並みの鼻息を吹かす。仕事にプライドを持てるのは結構だ。が、鼻息に釣られて(先の東電のように)ウチの会社を大手の人が訪ねる事も多い。やって来て会社の規模を知り、「まさか!」と腰を抜かすのだ。


 昼間なら在籍している社員は数名しかいない。ウチが早急にやらねばならないのは、実態の十倍くらいに大きく見せる迎賓館の建設か、と経営者は本気で思案している。



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