会社（の）事情（第三作）短編集どこから読んでもいい

失敗すればボンクラ

　会社というのは、実際は工夫一つで経営手法を様々に変化させられる。採用した手法が正解か間違いかは、最終的に利益額という数字ではっきり確かめられる。利益的に成功すれば名経営者であり、失敗すればボンクラだし、小さな会社なら夜逃げもあり得る。スマホゲームに夜逃げの項目はないから、経営の仕事の方が一層刺激的で面白く、容易に止められる（経営者を、辞められる？）ものではない。

　先の通り「上役の無い会社」を目下やっているが、会社が生まれた当時からそうやっていたわけではない。　三十数年前の創業間もない頃の経営者は強権でなければならず、オレに付いてこいだったから、社員達につべこべ言わさなかった。

　経営手法は会社の成長時期、時代の趨勢によって変わるもので、変わらなければ会社が悪い意味で硬直化してしまう。だから現在上手く行っているウチのやり方を真似れば、どの会社でも正解になるとは限らない。