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男女差を語る

「君の話を聞いていると、世の中を逆さまにして洗濯するみたいだ。よく考えてみると、ウチの家では、元からそうなっているみたいだ。僕は発明仕事に熱中しているし、君は僕の小遣いを5万円ぽっきりで大蔵大臣として管理しているしーーー。増額して欲しいよな」


 彼女は会社(中小企業)の経営者でもある。会社設立以来36年間一度も赤字を出したことがない。この一事だけでも大したもの。過程で二十歳代の若いのから老年初期の年配までの様々な男を雇い、又若いのから中年まで様々な女を雇って、社員として眺めて来た。大卒も新卒も高卒もいた。大手上場企業からの退職者も何人か混じっていた。


 規模が小さいからこそ少人数である会社の経営者として、会社の浮沈が掛かっていたから、雇った人間を毎回真剣勝負で能力評価せざるを得なかった。社員の学歴を意識した事は一度も無い、その人の本質を見極めようとした。変なのを抱え込んでしまったら、潰れてしまうからだ。多くの社員がいて補足が利く大会社とは違った真剣さがあった。


 適性や能力の面で彼女のメガネに敵った人は、決して多いとは言えない。大部分は不適性で辞めたり辞めて貰った。経験を通して、男の特質や女の特質を見抜く目が培われたから、自分の夫に向ける目を含めて、男女の違いを見る目はかなり確かって訳だ。


 他人事ひとごとのように言葉遊びに暮らすそこいらの有識者などと違って、男女差を語る彼女の言葉にはシャープな現実味と真面目な真実がある。メルケル(元)首相みたいに、この女の言う事に間違いはないのかも知れないな、と筆者は歳が入った今でも深刻ぶってそう思うのである。


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