自分のやりたい事
筆者は半世紀以上歳が離れた古いタイプの人間で、S子は現代の女である。話を聞きながら、S子の考え方が昔の、つまり筆者が若い時代の「典型的な男の考え」そのものだと思った。
当時男は概して自分の人生を優先して考え、パートナー(女性)に尽くすために生きようとは考えなかった。昭和の時代に盛んだったそんな考えは、令和になってもう死に絶えたかと思っていたら、図らずもS子の中に発見したから、敗者復活である。
これは女性の男性化ではなくて、女がやっと男と同等の位置に立っただけの事かと思う。女性の高学歴化の結果であるから、S子の考えは非難には当たらないし、むしろ真の男女対等である。男に依存して生きれば、夫との離別や死別が起きれば子供を抱えて女は哀れな境遇に陥ってしまうが、S子の生き方なら、そういった事態が起き難いのは確かだ。
これは先のエッセイで紹介した「ノリちゃん」(神戸女学院大学教授・シングルを通した)の生き方でもあった。また、芸能人は昔から完全な男女対等で、女が「自分のやりたい事」の為に生きており、決して夫の転勤については行かないから、今も昔も変わらない。S子も芸能人並みになった訳で、ノリちゃんを含めて実力で勝負の女達だから頼もしい。




