形の無いソフトばかり
それにしても、選りによって買収先として相手は「なぜ、ウチを狙ったのか」である。商社だから、工場や設備などの資産がある訳ではない。あるのは販売ノウハウと経営システムと、設立以来三十数年かけて全国に構築した販売ネットワーク(=顧客情報)であろうか。つまりは形の無いソフトばかりという事になる。
経営システムが欲しいなら社員の一人でも引き抜けば、マネが出来ない事は無い。後者の販売ネットワークなら、これは会社に染みついているものだから引き剝がす訳に行かず、社員を引き抜く程度では手に入らない。
欲しいのが販売ネットとなればーーー、ははあ、とピンと来た。ウチが保有する顧客情報はすべて日々新たに更新される「生もの」という性質がある。今年の情報は昨年のとは違う。しかしボルト締結だけに関係していて、いわば「偏った情報」だから何にでも応用が出来るという普遍性はない。
更に買収資金が要るから相手はウチより大きいのは確かで、日本の会社なら一部上場だろう。となると、相手会社は沢山の数は無い筈で、世界広しと言えども五本指で勘定出来る範囲だろう。
さらに絞り込み検索をすると: ①これから新たに日本市場へ進出したいと狙う会社か、或いは②既に日本市場に存在しながらウチとの競争に苦戦している会社か。そして(間接的にせよ)ウチを「良く知っている」ことが条件になる。
となればーーー先の五本指の中から絞られて一社が浮かび上がった、ヤツだなーーー、海外製である。




