身近でリアルな問題
先の話は、億万長者の幸せな外観と内側の深刻な真実には、随分とずれがあるのを教えている。外にも例がある:
例えば古典的な哲学の問題がある:「誰もいない森の中で木が倒れた場合、音はするのか?」である。
音を聞くのが人の五感の一つの感性であるならば、人が居なければ、音も無いのではないかーーー、と考えるのが哲学の事初めである。筆者は哲学者ではないから、ここで回答を示さないが、これも現実とのずれの問題かもしれない。
次に古典から現代に変えて、もっと身近でリアルな問題:
乗船しているとしよう。外が見えないように目をつぶって、エンジンの音も聞こえないように耳もふさいでいるとする。貴方には船が動いている(=定速航行している)か、エンジンを切って同じ処に停泊しているのか、二つのずれを判別できるだろうか? 判別出来ると言うなら、何故分かるか? ヒント:回答し易いように、小舟、例えばモーターボートであっても構わない。
重ねて三例目:
公園のベンチに腰かけているとしよう。同じベンチで貴方の隣に腰かけている人を観察して、その人が「生きているか、死んでいるか」、これは大きな違いであるが、どうやって違いを見分けるか。分かるというなら、何故分かるか?




