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◎第八十話:「シャンとする」話
◎第八十話:「シャンとする」話
大阪市内に住む74歳の女性、筆者の配偶者の長年の友達である:同い年の夫がいて、夫は既に定年退職しているが、一流企業で働き出世した。彼女自身は二十代初めの四五年の独身時代を除いて、生涯働いたことが無い。子育てと趣味に人生を生きた(趣味は多彩で、今もそうしている)。
経済的に豊かで老後の生活は毎年夫婦で1~2回は海外旅行を楽しめる水準だ。さらに加えて彼女は(突然の事だったが)実兄が亡くなって、近年思わぬ巨額(十億円以上)の遺産を手に入れた。
けれども、74の歳を考えると使い道も無く、遺産の九割以上は社会に寄付する積りで、そのように遺言書も書いたそうだ。汗して得たものでないお金はロクでもない、子供達に継承するのはもっと良くないという考えの持ち主なのだ。若い時からそんな人柄なので、私の配偶者が彼女を好きな理由の一つである。




