テンションナット
混合物を試しにねじに塗布してから締付け、それから一日置いて(=ロックタイトが固化するのに必要な時間)、振動試験を実施した。結果、緩み止めとして抜群の効果を示した。つまり「キツク締まって・しかも振動で緩み難い」グリースが、一日半で実現したのである。同時にウチの社内では、ノーベル賞の権威が一気に低下した。
混ぜる割合を様々に変えて繰返し、輝かしい結果を得た。かねてよりノーベル賞を狙っている懇意の学者に報告したら、腰を抜かした。筆者に先を越されたと思ったに違いない。
これは同時に先の頭だけで考えた「水→氷がねじの緩み止め剤として有効」という仮説を、(冷凍庫を買わずに)立証した結果にもなった。
次に二液を混ぜた混合物を1ケ月間室温で放置してみたが、均等に混ざりながら液体状を保った。これは容器に入れて長期保存が出来て、製品として販売が出来そうな事が分る。ネジ面に塗布すれば、締め付ける時にはキツク締まって、そこで「初めて固体化する」(緩み止め機能を発揮する)のが確かめられた。
長く読んでいただいたが、筆者の研究はここまでである。
「二液を混ぜるだけ」なんて、特許にならない。今の処誰も知らない知見だが、ウチではこの効果を製品に上手く応用して、実際に役立っているのを申し添えて置きたい。




