ロールスロイス社
文化の違いを思い起こしてみる:
・ミロク社:部品の精度は荒っぽくてよい+高度な仕上げ職人が居るから(例えば韓国の中年女性)
・FN社 :部品の精度が全てである+職人ゼロ(不要)
FN社のやり方でやろうと思えば、高精度の機械を使って自動生産しかないーーーと思われる。筆者が若かった当時でも、自動NC機械はあった筈だから、ならば、ミロクには高精度の自動機械を設備する金が無かったからか? それで代わりに安い人件費に頼ったか?
物を作るのに、先の二社のいずれが正しい考え方だろうか? 虐げられたように見えた韓国の女性作業員を眺めたり、図面は一体何の為にあるのか、部品精度とは何かを考えると、当たり前の事として諸兄の多くがFN社流儀に軍配を上げるだろう。そうだよなあーーー。
「すり合わせ」なんて、後進国のやり方だ。
そんな文化の違いが為に、FN社の検査員として筆者が当時ミロクと激しくやり合ったのは当然だったが、実は人生も世の中もそれ程単純明快ではない。やり合う以外にも、学ぼうと思えば人は何からでも学べる。
検査の仕事をやりながら、毎回筆者には心に引っ掛かるものがあった。理詰めで契約書をたてに取るなら、確かにFN社のやり方が近代的で正しい手法に見える。しかもFNは、航空機のエンジンメーカーの名門ロールスロイス社が、舌を巻いたと言う程の技術力の高さを誇っている。誰が反対出来ようか!
にも拘らず、FN社が(作れと)指示する銃の部品図が真に合理的で100%正しい正解かーーー、と言う疑問が筆者の念頭から消えなかった。そこには銃特有の異質な特殊性があり、図面万能ではないと思わせる面があると言いたいのである。以下はFNという巨人に立ち向かう(筆者の密かな)理由であった:




