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FNのブローニング(ブランド)銃

 銃の心臓部に使われるロッキングブロックという部品があった。約3センチ角・厚み1センチ程度の鍛造鋼で作られ、手のひらに乗る程度の「ちっぽけな」部品であった。加工する為に(=部品に比べたら巨大と言える)A3サイズの図面には、所狭しと加工寸法と公差がびっしり指示されていたものだ。


 素材は製鉄所で圧延された鉄板や棒鋼ではない。鍛造鋼(=日本刀のように叩いて鍛えるしなやかで同時に高強度な鋼)と聞くだけで、「おぬし、そこまでやるか!」と素材一つ取っても、部品に求められる高い品質と衝撃に対する強靭さがうかがえるというもの。

 

 この特殊な鍛造鋼を削って仕上げ加工する機械は、工員のランチタイムでも運転を決して止めてはならない、と言われた。休止中に機械を循環する潤滑油の温度が変化するからで、昼から続きを行う加工精度に影響を及ぼすからだ。


 当時ミロク製作所(高知県)は、この銃全体を作っていたのではなく、一部の関係の部品を下請けとして製造していた。下請けさせていたのはベルギーに本拠のあるFN社で筆者はそこに属して、出来た部品の品質をチエックする検査員の仕事であった。

 完成したAuto-5銃は磨き抜かれた芸術品以外の何物でもない。それがFNのブローニング(ブランド)銃だった。伝統ある世界一流の仕事の一端に携われたのを、筆者は今も誇りに思っている。



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