大科学実験
けれども「筈だ」と強調しても、女も男もいて世には人様々に価値観が違う。「お前の言うのは、ホントに本当か!?」と感嘆符を付けて迫られると、何やら不安を覚えるのが筆者の弱い処だ。今になって優柔不断のそしりを受けそうだが、加えて筆者側には更に不利な要素が後から出て来たのである。敢えて正直に明かすと:
先のように①→⑦とアイススケートの滑る原理を再度順を追って眺めていて、重大な思考の落とし穴に気づいたのである:よくよく考えれば、固体化したロックタイトの場合にも、氷の場合とそっくり同じ理屈で「摩擦熱と圧縮熱」がねじ面に発生する筈じゃないか!と気づいた。熱の発生は何も氷だけに限らないのだ。
が、ここまでは良い。不覚にも気づいたのは:氷ではないからロックタイトの表面は「(熱が発生しても)ビタ一文溶けない」。ここが氷の場合との「決定的な差異」である。氷の場合は解けた水が潤滑油の役目をするが、ロックタイトは潤滑油が発生しない。この違いを見落としていたのは筆者の迂闊だった。差異があるのに同一視して議論していたのだから。
もし筆者が他の人と違っていたとすれば、ここかも知れないと(後で思い返して)思う。上の差異に気付いた時、自分の負けとして恐らく99%の人は降参して以後の追及を諦めると思う:水はやっぱりダメか、多寡が水だものなーーーと。けれども、四面楚歌の中で筆者は諦め切れなかったのだ。
結局、(A)やっぱり氷の場合は「緩み止め機能」は働かないかーーー、(B)いやいや、あくまで筆者の先の解析結果(=摩擦係数無関係)の理論が勝って、「(緩み止めとして)氷は優秀に機能する」か?
AかBか、いずれが勝つか筆者は悩んだ。
ここまで来れば、「やって見なくちゃ分からない、大科学実験!」(=NHK番組)であるべきなのだが、事は簡単ではない。
先ず、ボルトを凍らせるのは少々面倒だ。たった一回の実験の為に冷凍庫を購入する無駄遣いに配偶者が良い顔をする筈は無く、彼女の気持ちをやわらげる方法も思い付かない。NHKとは持てる財力が違うのだ。
先のAとBに決着をつける為に、如何になすべきや。




