拳銃は発射される
思わぬ処に伏兵あり! 「唯一の欠点」を発見。
締める時は常温で行い、振動を受ける時は氷点下でないと機能しない。アハハーーーこれは死ぬほどバカバカしい不便な欠点だから、水が「緩み止め接着剤」としてバカ売れしないかと気を揉む事はないし、売れすぎて酷く途方に暮れることもなさそうだ。
と一応「水」を馬鹿にはしたものの、物事は何時も相対的である。
例えば、小説の中に拳銃という単語が一旦出て来れば、物語の中で必ず何処かで発射されなけばならない。そんな鉄則があるのだ、という意味の事を何かで読んだ事がある。小説の作り方のコツであるらしいから、作家を目指す人はこのルールを覚えておけば役に立つと思う。
「緩み防止接着剤」の言葉も実は拳銃と同じなのである。一旦この名前を耳にしたが最後、いつか必ず(ネジは)「緩められなければならない」宿命にある。何か哲学的に響くが、なに、(本当に緩み止めの目的の為だけなら)初めから溶接してしまえばよいのだから、そうすれば「ねじ」の意味が失われるという意味だ。文学的に表現したのである。
氷の場合の緩め方は既に分かった。ならば、ロックタイトの緩め方は? あにはからんや、結果はガッカリするが氷と似たり寄ったりなのだ。ガスバーナーで熱く炙ればよい。固体化していたロックタイト(=プラスチク)が溶けて液体に戻るから、ネジは簡単に緩められる。
氷もロックタイトも緩め方に基本的に違いは無い。だのに、ロックタイトは売れて水は売れないなんてーーー、世は不公平であるまいか。




