すぐやる・必ずやる・出来るまでやる
そんな風に年少にして教師のウソをあっぱれ見抜いていたが、著しく内気で自己主張の欠如した子供だったから、手を挙げてよう質問をしなかった。もしよどみなく質問出来ておれば、「確たる証拠を示せ!」と追及して、教師を崖っぷちへ追い詰めたに違いない。
筆者の困ったクセで、哲学の教師になれば良かった。因みに「存在の問題」は、今の哲学者にしても未だ謎のままであると聞く。当時の小五が地底人の存在に悩んだのも無理はない。
さて先の接着剤の話へ戻して:メーカーが(何故緩まないかを)答えてくれなかったし、民主主義や多数決で処理するべき問題でもないから、こうなれば自分で答えを探す以外に無かった。筆者は当初こんな風に考えていた:
ロックタイトをねじ面に塗布すると緩み難くなる理由は、(恐らく)「オス・メスの二つのネジ表面が接着(きつく固着)されて」、つまりこすり合う表面の「摩擦力が強化」されて、結果としてネジが緩まないのだろうーーーと。(読者の多くも)そう考えると思う。
この仮説を立証する為に一ケ月ばかり実験を重ねた。それなりの量のロックタイト液を購入しなければならなかったし、どうやれば体積変化を正しく測れるかなどのアイデアも考え出さなけばならなかったから、準備だけで十日ほど掛った。日本電産永守社長の座右の銘は、「すぐやる・必ずやる・出来るまでやる」だそうだが、その一部を拝借して「必ずやった!」のである。お陰で気分だけでも、少し偉くなった気がした。




