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◎第七十九話:「接着剤と哲学とスマホ」の話

◎第七十九話:「接着剤と哲学とスマホ」の話


 ウチは元々がボルトを締め付ける工具の専門メーカーであり商社だから、会社が小さいながらボルトの試験用具や計測器には大小事欠かない。対象はボルトが主体になるが、そんな機器に支えられて研究環境には恵まれている。実験で得たデーターに少しでも不審な処を見つけると、筆者の性格の通り心配性のパラノイア流儀で、徹底して計測器で確かめる。


 単に機械的な締付けや振動試験をやるだけでなく、付随するボルト用の潤滑油や接着剤までも細部に渡って調べる。けれども今回は、何かを発明したり儲けるという欲に駆られた話ではない。歳が入ってガタの来た頭でこんな「思考の遊び」をした、という話である。


 「人生すべて当たりくじ」(塙氏:イトーヨーカ堂)という通り、コロナ禍は確かに災難だが、巣ごもりで余った時間が普段なら使えない事へ潤沢に使えるメリットがある。ものは考えようで、利益を追求するのが会社の目的とは言っても、社長業の合間に多少のリラックスタイムが与えられたのは決して悪くはない。



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