好きな人が気になる
しかしある人が実験終了後に何気なくAのナットを指で触ると冷たかった。
試しに隣にあるBのナットも触ってみたら、ほんのり暖かく感じた。ごくほんのり。Bが何か語り掛けているのに気づく人は驚くほど少ない。そんな少ない人が、実は思い遣りのある愛情に満ちた人である。どうして暖かいのか思い遣ってみた:Bは振動を受けて(振動に合わせて)目に見えない位ナットが「微小に動いていた」のではあるまいかーーー? シャイなナットだから、身動きしたのをきっと自らよう訴えなかったのだ。
暖かいのは、身動きして発生した摩擦熱のせいかも知れないーーー。
ならば、と推測した:
①3時間ではなくもし5時間揺らし続けたなら、ほんのり暖かいBの方が「先に」緩むのではあるまいか。
自然な連想ゲームだ。
②こんな事も考えられる:振動試験をやるときに何も緩むまで3~5時間やらなくても、1時間程度経っ
た時にナットの検温をやれば、どちらが先に緩むか予言出来る(事前判定できる)かも知れないーー
ー。丁度コロナ感染を、検温で察知するのと似ている。
①と②に気付くのが「良く・観察する」という意味である。推理小説なら名探偵。因みに上の現象は、振動試験で筆者が実際に得た知見である。以後どんな振動試験をやっても、事後筆者は必ずナットの肌を「丁寧に触る」癖がついた。こうしてナットと女の気持ちが分かるのである。
「良く・観察」するのは違った事のように思えるが、実は「没頭する事」の延長線上にある。好きな人(=没頭する)の事は気になるから、じっくり眺めるのと同じ。
「良く観察し・少し考える」事によって、様々な開発に繋がって行く。発明や開発をやってみたい人は、考え方を参考にされたらよいと思う。因みに気になる向きがあるかも知れないので、先の結果だけを付記しておく:二つの潤滑油の実験ではナットB(=高級潤滑油(モリブデン含有)を塗布した方)が、激しい振動を受けると「必ず・先に緩んだ」。




