女の勘
因みに、彼女の方でも同じような疑惑を抱いたらしい:「男というのは会話の途中で、直ぐに黙り込んで瞬時のキャッチボールが出来ないから、まるで停電と同じよ。今日の返事がアスクルみたい」。
最近ではついにこう喝破した:「貴方が文章を書くのが好きなのは、『ようしゃべらない事の裏返しなのよ!』」。
最後の言葉は辻褄が合うから非常に驚いて、成程そうかと思って感心した。これから連想するなら、女の中でも「ようしゃべらない人種」がもっぱら女流作家になるんだなーーー、とこっちも作家の新たな内幕を知った。裏返せば、ようしゃべる女はエッセイを書くのが下手なのかも知れないと、追加の証拠を捜してみた。
統計に載せられるほど多くの女を知っている訳ではないが、身近なタイプを観察してみると確かに、配偶者は作文が上手でないし、冒頭のみいみさんも、女友達の「四十三バツイチ子持ち昆布」(=別口のバツイチで、介護施設に勤務している)も、本人達は苦手だと普段から言っている。『ようしゃべらない事の裏返しよ!』の言葉は多くを教え、女の勘の鋭さを示した。
外にも、配偶者は燐家の若いご主人に好意を抱いているが、どちらかと言えば私は奥さんの方へ好意を持っている。このように、おしゃべりから始まって夫婦の好みはまるで正反対であり、その気になれば違いを証明するデータが外にも殺到するほどある。異質さが宇宙人みたいという程ではないけれども、付き合うこっちは飽きる事が無く、毎日が新発見だ。




