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女の子
2.女の子
初めて「女の子」に話しかけたのは、学校からの帰り路。
彼女も私も小学校二年で同じクラス。昭和二十四年で、余り昔の事なので名前を忘れてしまった。五十数名の級友の中で、彼女は頭抜けて背が高かった。綺麗な上に目が優しく、癖毛の短い髪が下端でやや外向きにカールしていた。私が異性と意識して眺めた、最初の女である。
そんな風に姿は目立ったが温和しい性格で、教室の隅に何時も独りでいるような処があった。彼女の静かな雰囲気が好きで、私は遠くから眺めて憧れに似た気持ちがあった。当時の小二といえば、男女が気軽に遊びに交わったり言葉を交わしたりせず、むしろ、そんな所を他人に見られるのを気恥ずかしく感じ始める年頃。かと言って、互いに無関心であった訳ではない。
男の子にすれば、女の子の体に触れてみたいし、パンツも脱がせてみたいもの。簡単な事だのに、どうして女の子は立ったままオシッコをようしないのか、その辺りの理由についても格別の興味があった。そんな好奇心に私も例外ではなかった。
つづく




