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みな独立王国

 けれども、検事がヘッドハントをやっているスキを突かれて、身柄が拘束される直前に被告が首を吊って自殺した。そこまでは予測していなかったから、人は簡単に死ぬものだと思った。首尾よく刑務所へ入っておれば、今も生きている筈だのにと思うと、自分のやり過ぎを悔やんでいる。中には、最高裁まで出張ったケース (=これは敗訴)もある。


 過去の判例や専門用語を県立図書館でとことん調べた上で準備書面(裁判の論争書類)を書いたから、毎回当方の弁護士が私の下書きを丸写しするまでに上達した。後に何かに役立ったことは無いが、これらの経験も確かに私の人生の独立した一面であったと言える。

 が、そうしてプロ並みに上達したけれども、生まれ変っても収入が良くても、私は弁護士にはなりたくない。人の喧嘩を引き受けて、「代理戦争をやる商売」は余り好かない。因果な商売と思うばかりだ。


 長い人生の中で前後に無関係に「折れ曲った」一部分を紹介したが、一つの経験が基礎となって次の新しい何かに生かされる事は殆ど無かった。学んだ造船工学も、工業用チエーンの輸出の手法も、喫茶店の経営や旨いコーヒーの淹れ方も、ゴリラの執事の経験も、工具のセールスマンも、刑事事件で図書館に通って勉強した経験も、どれ一つを取ってもそれぞれが独立王国である。

 今でも過去の経験に関係なく、ここ2年間は市場でヒットする新製品を次々生み出す発明人生である。これが、かって練習したコーヒーの淹れ方と関係しているとは思えない。


 発明と言うと何か得体の知れないラッキーなものと思うかもしれないが、確かに最初の一件はそうだった。けれども、これが切っ掛けでのめり込み、盆正月・土日・祭日もなく研究に没頭したから、その後次々に発明した4件(今の処)にラッキーさは無く、私の汗の結晶である。これも今や天職に近い人生と思っている。これらは経済的には少なくても数億円以上の利を会社に産むものと思うから、矢張りこれも人生の新しい事業として独立王国である。

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