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待ちの商売

 コーヒーを淹れたり土佐弁で接客もやり、ついでに若いウェイトレスのプリンとしたお尻を撫ぜるのは自由で、マスター(店主)の特権をこっそり楽しんだ。毎日が目の回るほど忙しく、頑張ってよく働いたものだ。当時は、「外食産業の明るい未来ーーー」なんて言葉がもてはやされて、スカイラークなど外食チェーン店が全国展開され始めた初期の頃。食こそ有望産業と考えて多少とも夢を持って始めた喫茶店だった。一時は一日の売り上げが4万円を超えて、そんな日は奮発してショートケーキを買って帰り家族を喜ばせた。


 が、あにはからんや、開店一年半後にあえなくダウンした。店の前にあった大型ビジネスビルで働く会社員達が得意客であった。それで店を維持していたのに、ビルが建て替え工事となり、工事期間中に客足が激減したからだ。正しく昨今のコロナ禍中にある飲食店と同じで、言い方を真似れば「一瞬にして顧客が蒸発」した。店の前に立って客引きを出来ないのが喫茶店の限界。工事が始まるや、毎晩悪夢にうなされながらベッドの中で身震いした。


 学んだのは:同じやるなら「待ち」の商売はやるな。この知識は今の会社でも生かされている。待っていてはいけない。。


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