真っ先に教える
次の作戦:
ボルトサイズの90%は、先に言ったように小径ボルト。先のA~D社は小径ボルトは作らない。ここでウチの出番が巡って来るのではなかろうか。
小径ボルトの分野には問題がある。零細業者が多い特徴があって、メーカー数が多い上に生産数も多いと来るから、いちいち管理が出来ない。内緒にマネして作られても分からないのだ。大径ボルト専門メーカーとは、話がガラリと違う。
小径ボルト分野については、ウチが全サイズを大量に、下請けを使ってジャンジャン作らせたらどうか? 先のA~D社からのライセンス料をそのまま在庫資金として投入すれば、大量に在庫しても特別な資金は要らないし、倉庫も借りられる。配偶者も文句を言わない筈だ。
こうして「SAKIワシャ」の専門メーカーとして資金ゼロで発足し、20年掛けてブランドの浸透を図り、「連れ回りゼロ」と言えば、「SAKIワシャ」。「SAKI」と聞けば、「ああ、連れ回りゼロなのね」てな具合にしたい。こうして「SAKIワシャ(株)」という会社が新たにひとつ出来るかも知れない。
夢は結局自分でかなえるしかないが、それは現在のウチの企業規模を凌いで格調の高い会社になるかなーーー。
けれども、このアイデアは未だ黙っていた方がいい。何故なら配偶者がきっとこう言うに違いない:
「アンタ、歳が幾つだと思ってんのよ!?」
「うん、それが判ったら、君に真っ先に教えるよ」
以上お仕舞い
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余談の続き:
私の立てた先の仮説が正しいとすれば、当該のネジロック接着剤の「緩まない効果」は、
①液体状態から(時間が経てば)固体化する事
②固体化したときに体積が変化しないという事
によって生じる。
この2点によってそんな効果が生まれるのだと分かりましたが、これを面白い発見だと思いましたね。何故なら:トリモチみたいに、薬剤が何かに「固着して」ネジが緩まないのではない、からです。普通の世の接着剤は、「固着して」くっつくものです。だのに、固着しなくても接着する(=ネジが緩まない)なんてーーー、何か可笑しくて面白い。そうじゃない?
これは「応用の効く」発見!だと、ピンと来ました。
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思い出して下さい、すぐ先に発見した別の事件がありました:
ボルトを強く締め付けたければ、優れた特殊潤滑油(例えば、モリコート:モリブデンの粉末入りグリース)※を塗布すれば、ナットがつるつる滑るからボルトは強力に良く締まります。これは確か。しかし、実際に試験してみたら、(振動を受けると)緩みやすいのも事実。つまり、「良く締まるものほど、よく緩む」のです。実に矛盾だが、実験で確かめたから嘘ではない。そんな話でした。
この発見で、神戸大学のネジ専門のF先生に問い質したら、こう返された:
「XXXさん、塗布したらボルトが一層強く締まって、そのまま振動を受けても緩まないーーーなんて、
そんな理想の潤滑油がもし出来たとしたら、それこそ大金持ちですよ!」
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ならば、※の潤滑油に先のネジロック接着剤を混ぜたら、一体どんなものが出来るか?
実験をやってみよう。私は大金持ちになってみたい。




