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歳がいくつか?

 調べると、どうやらボルトメーカーは2種類ある:M20以上の大径ボルト専門のメーカーとそれ以下の小径ボルトメーカーである。小径メーカーはうじゃうじゃ沢山あるが、大径メーカーは国内に精々10数社程度と控えめな数。因みに、大・小径のボルトの製造工場は零細企業を含めて、驚くなかれ全国に600社以上ある。


 ボルトは産業のコメと言われるだけあって沢山使われるから、それだけにメーカー間の競争は激しいだろうし、薄利多売なのだろう、多分。けれども大径と小径のメーカー間では、それぞれ互いの陣地を犯さない仁義があるらしい。要するにロボットなどを組み立てる小径ボルトと造船工場向け大径ボルトは違うという訳で、難なく区別出来る。


 他方でウチには工場がないし、SAKIワシャの種類は多い。ボルト径に合わせて様々なサイズを作らねばならないし、厚みも色々だから膨大な種類となる。自社で作るならば時間が掛かるだけでなく、それ以前に多額な投資が要る。代わりに下請けで作らせるとしても、作らせたワシャを保管する数百万円からの莫大な在庫資金が要るし、倉庫も要る。


 ケチな配偶者が到底納得する筈はない:「あんた、歳が幾つと思ってんのよ!」夫を思いやって警鐘を鳴らすというより、厳しく意見をするタイプの女だ。

 この現状を考えて、新たな悪知恵を思い付いた:


(明日へ続く)

余談の続き:

液状の接着剤が固化するときに膨張する筈だという仮説を立証するために、ワシャ下面へ接着剤を塗布して、ボルトM16のナットを力一杯締め付けた。

センサー(ロードセル)のデジタル目盛りから締付け力は7,780kgに達した。8トンに近い。十分な固化を待つために、そのまま24時間を置いた。結果、先の締付け力は7,764kgとなった。差は16kgだから、たった0.2%の減少である。1%以内なら、罪には問えず誤差の範囲内である。


よって結論は:接着剤ロックタイトが固化するときに、体積は増えもせず減りもしないのを知った。

けれどもーーー、と私は納得しなかった。実験にスキを見つけて、食い下がったのである。名人が行った筈の実験のスキは、一体何処にあるか?



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