古い遺物
建築工事のボルト締めにそんな小難しい掟があるのを、筆者は知らなかった。厳しいルールがあるからこそ、強い耐震性があり日本の建築技術が世界一となっている所以なのだろう。そもそも筆者の開発の当初は(単なる平ワシャへの興味本位の実験から始まったから)、世界一の建築技術をさらに押し上げようなんて協力する意図は無かった。思えば、呑気なものだった。
考えてみれば、先の「一次締め」をやったり「マーキングを強制」する厳しいルールを作った根本は、ナット以外の部材(=ボルト頭とワシャ)は、「連れ回るものだ」という前提に立っている。男は浮気するものと決めつけて、相手を信用していないみたいだ。
信用していないから連れ回りしたまま締付けを完了すると、つまり不埒な工事業者が誤魔化して(マーキングせずに)締め付けると、世界一の建築技術が泣くし、地震で緩んでしまうのを「恐れた」ためではないか? その目的で作ったルールに違いない。
けれども時代が変わった。新しい技術が開発されて(=SAKIワシャの登場)、ボルトもワシャも「連れ回りしないものだ」となってしまえば、先のルールの一次締めもマーキングも不要となり、いきなり本締めが可能となる。作業時間は半分以下に短縮。現行のルールは「手間と時間とコスト」が掛かるだけで、古い遺物となり存在の意味を失ってしまう。
はて、何故こんなことを念入りに書いているかってーーー? 何故でしょう?




