絶滅危惧種
予算が小遣いの範囲内と規制されても、筆者の場合それが致命的な一撃になるとは限らない。こっちは様々にしくじりを重ねて来た人生だから、しごかれて進化した遺伝子のお陰で反って悪知恵が働く。先ず費用の掛からないネットから調べてみる事にした。「(ボルトの)連れ回り」で検索すると、あるあるーーー百花繚乱である:
A社製品のPR:
素敵な「供回り防止具」の提供です。製品名「うらもちくん」(=「裏持ち君」の意味か?)と呼んで下さい。手の回らない裏からボルト頭を支えます
(★名称を覚えておくのに苦労しそうだが、やや自己陶酔型のPRである)
B社製品のPR:
画期的な「ボルト締付け保持具」の出現です:鉄塔工事・送電線工事で活躍してます。山奥で私たちの生活を支えており、鉄塔建設がスムーズに行くのも弊社製品の尽力です。
(★一点の卑俗な処も無く実績を真面目に語っているが、PRには今少し快楽が欲しい)
C社製品のPR:
やっと出来ました。待たれた最も安価な「共回り防止工具」がコレです、従来製品の半額。一人の人間で使えるよ!
(★「安価だ」と思いやりのある説得だから、つい結婚したくなりそうだ。けれども、収入の低い安価な男性は結婚相手として選ばれ難い、という事だってあり得るのじゃないの?)
連れ回り防止工具には外にも様々なメーカーがあって、中には大手のNTTの子会社も混じってあり、うたい文句は:「ロープが取り付けられるからボルト作業中に(連れ回り防止治具が)電柱から落下しません」とある。架線工事だから、ボルトの径が太い物とは思えないが、小径でもボルト頭が「連れ回り」するらしい。それを止める為に、手の長いチンパンジーとは違うから、電柱の裏側まで手首を回せないのだ。
それらのキャッチコピーは大体が単純で:うらもちくん・回転防止具・締付け補助具・連れ回り防止具・ボルト着脱補助具・ボルト止め方法・ボルトストッパーなど。便利よ、ロープ付きで落下しないから安全よ、とPRに懸命だ。けれども、そんな治具の必要性自体が天下の迷惑なのだから、初めから便利もへちまも無い。
ネットで見る限り、作業現場の多くが供回り(=連れ回り)に苦労しているから、この分ならSAKIワシャの将来は明るそうだ。こっちだって盆正月無しでコロナにも負けず何百回と奇怪な実験をやり続けたんだ。開発の苦労に見合う報酬は貰いたい。ケッケッケ、彼らをまとめて絶滅危惧種に追い込んでやれ。
明日へつづく
(余談の続き)
「良く締まるものほど、よく緩む」と聞いて、矛盾をF先生へ突いたところ、こう返された:
「ねじ面へ塗布したらボルトが一層強く締まって、そのまま振動を受けても緩まないーーーなんて、そんな理想の潤滑由がもし出来たとしたら、それこそ大金持ちですよ! 私は常々学生たちに、そう言っているんです」
よってーーー、筆者はこの開発に取り掛かる事にしました。今日から素人化学者がスタート。実験を開始。成果が得られるかどうか分からないが、結果はまた後日。




