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同じタイプ

7.同じタイプ


 そんな女の熱情が実らぬ筈はない:一年半後に十数人の社内営業マンの中で、月間売り上げで時々

No.1を飾るようになった。トップセールスグループ入りである。

 平均的な男子営業マンと互角に並ぶのさえ難しいと思っていたのに、今や男達を睥睨し、社内の営業マンもスタッフらも、女へ一目も二目も置くようになった。誰も文句の付けようがなかった。文句を付けようものなら負け犬の遠吠え、反って「負け惜しみ」と見られて自分のマイナスになる。


 女の「角のある」振る舞いは以前と少しも変わらない。が、周りの苦情はなりを潜め、空気は侮蔑と嫉妬から、賛美と敬意へ急カーブを描いて変化した。棘だらけの嫌な性格さえ、余人に無い貴重な才能に思えた。キツネ特有の鋭い眼つきが透明な知性を感じさせ、それまで気づかなかった女の魅力が輝き出すようにさえ見えた。これが一部の男子社員をゾクリとさせた。


 社員達は不思議がった:

「社長は、どうして前もってこれが判っていたのかーーー!?」

 筆者は内心で呟いた:「このタイプの人間を好意的に評価するのは、同じタイプの人間に限られるーーー」

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