絶対的な正解
3.絶対的な正解
半年前までは余剰資金をいかに有効活用するかが企業経営のテーマだった。今回のコロナ禍が起きる直前までは、儲けた尻から金を新たな投資にどんどん使うのが「資金効率の良い優れた会社」と見られて来た。(ウチみたいに)ため込むのは時代遅れで愚直な会社と見られがちだった。
が、そんな前者のような投資に積極的であった会社が現在手元の現金を失い、進化どころか市場からの退場を迫られている。輪を掛けて楽観的だったのが良くなかったのだろうが、企業の死は普通時間が掛かって非常に緩慢なものであるが、コロナ禍に拠る死は余りに急激だから苦しまなくて済む事だろうよ。
日本の自動車会社の流動性比率(=手元に現金が月商の何ケ月分あるか:売上ゼロで何ケ月食べれるかの目安)の平均は2ケ月未満であり、外食産業は1ケ月を切るそうだ。対して、ウチは仮に売上がパーフェクトにゼロであっても(そんな事態は起きないと思うが)、賞与も払いながら社員を全員雇い続け、一年以上モツと信じている。会社の成長よりも「存続」を優先している結果だ。
だからと言って、自画自賛しているわけではない。会社の経営について、何が正解か誰でも知っているわけではない。慎重すぎれば安全だが積極性を失うし、積極性ばかりでは危機に対して脆弱となる。経営に絶対的な正解というのはないものだ。




