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◎第七十三話:「進化か退場か」の話

◎第七十三話:「進化か退場か」の話

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 税理士のTさんは会社の創業時から関与し、過去三十数年ウチの成長と変貌振りを見て来た。よわい70前となり、蟹みたいに四角い体つきをして頑健そうに見えるが、アチコチにガタが来てメンテナンスが必要なそうだ。どんな効能があるのか知らないがハチミツを舐めながら、せっせとウオーキングに励んでいる。

 若いころ人並み以上に苦労・苦学した人で、それだけで筆者は敬服している。


 経営事務所は今や息子(28)の代に引き継がれようとしていて、月に一度定期的にウチへ来訪する時に、訓練を兼ねて近頃は息子と二人連れでやってくる。来るのは大体昼から一番で毎回数時間筆者の配偶者(=会社の経理の責任者)とおしゃべりをしてから帰る。


 長い付き合いだし、相手はこっちの家族全員の収入を隅々まで知っているし、またこっちも相手の家庭の様子も自然に知る事になったから、互いのおしゃべりも一つの家族みたいな和やかな感じであるそうな。


 普段病身な配偶者も、気楽なおしゃべりが気分転換にもなるらしく楽しんでいる風である。筆者がTさんと直接話をする機会は少ないので、あとで配偶者から伝え聞いた話だが、Tさんは最近彼女へこんな風に嘆息して見せたそうである:


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