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モチはモチ屋

 それにしても、ナットを締め付ける力(=回す力)の約半分近く(40%)がボルト頭を連れまわしする為に消費されるーーーなんて、驚くべき事と思わないか!?

 ボルト頭が「連れ回る」のは、この数値から見てむしろ当然の宿命で、「必ず起きる」と言っていい。だからこそ、現実に殆どのボルト頭が「連れ回って」しまう。40%の数値を改めて眺めて、筆者も新鮮に仰天した。


 それにしてもーーー、必ず起きる現象でボルト作業する誰もが困っている筈なのに、どうして誰も今まで解決しようとしなかったか?である。リンゴが木から落ちるのを不思議に思わなかったのと同じように、「ボルト頭が連れ回る」なんてことは、当たり前すぎて人は疑う事さえしなかったのだろうか?


 不審に思って知り合いの専門の学者に訊いてみたら、「ボルト・ナットやねじに掛かる応力や理論の構築に、世界中の学者は血眼になっている。が、誰一人ワシャなんて関心がない。第一ワシャは無くてもよいものだし、形が単純で研究するだけの価値も理論も無いからですよーーー、多分」。これを聞いて筆者は随分と驚いたものである。


 そんな中で筆者だけにアイデアが閃いたのは、かって自分が油圧レンチ(ボルト締付け工具)販売のセールスマンだった経験が利いているのかと思う。あちこちの工場を訪問して作業現場で販売実演した時に、ナットが座面を酷く傷めたりボルト頭が連れ回って悩まされたせいかも知れない。経験が無けりゃ、思いつかなかったろう。モチは餅屋であるらしい。


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