野球をやらない国
ついでに言えば、r寸法はナットのサイズでほぼ決まった値になって変化しないから、R寸法(凹みの径)が大きければ大きいほどワシャは床に対して強固に非回転となる。
理屈っぽく思われるかもしれないが、このように「理論を極める」のは大切。何故ならもし実験中にワシャが床に対して(摩擦係数の変動とか何かの拍子に)先に回転してしまい実験に失敗したとしても、ガッカリする必要はない。解決は簡単でR寸法さえ少し大きくしてやれば済む事だから。理屈を知っておれば、不必要に悩まなくてよい。
以上長々と書いたが、こう考えてもよい:野球のバットを想定する。これを水平に置いて、「細い握り部分」と「(球の当たる)太い先端部」を左右の二人がそれぞれ握って、互いに反対方向へ捩じりっこしたら、どちらが勝つかというのと同じ。太い方を握った人が勝つに決まっている。これと同じで、「非回転ワシャ」はテコの原理の応用なのだ。
しかし、まさか特許申請書類に野球のバットを持ち出す訳には行かなかった。野球をやらない国もあるから、国際特許にしたければ説明は上の数式一つしかない。
また同時に市販のワシャが、直ぐに連れ回ってしまうのは、先の実験でのワシャ裏面の「押し跡」を写真で示した通りR≒rでほぼ等しくなり、結果的にFa=Fbとなるから、回ったり回らなかったりが「出鱈目に」発生したのである。現象は決して偶然ではなく、神様のせいでもなかった。無論、残念ながら量子力学の為でもなかった。




