錯覚の裏
(★ここに図があります)
上の左図は、「非回転ワシャ」をナットの下へ敷いた時の断面図。
右図はワシャについて、ナットが接触するA面(ワシャの上面)とワシャが床面に接触するB面(ワシャの下面)を一緒に重ねて描いたもの。説明の為にそう描いたが、さてここで:
一般に平滑な床面上での「摩擦力F」は、物理学で次のように表される。材料力学を学んだ人なら知っているが、知らない人も構わないから直ぐに覚えて欲しい。
F(摩擦力)=W(接触する物体全体の押し付け力)x μ
μは摩擦係数(=ツルツル、或いはザラザラ度合い)である。
公式は簡単だが、これが大切な意味を教えて呉れる:摩擦力Fは接触面積の大きさに無関係で、全体の押し付け力Wと摩擦係数μだけに関係すると分かる。これは人の感覚(=接触する面積が大きいほど摩擦力(こすれる力)は大きくなるように見える)に反するが、物理学を信じられたし!
現実社会には接触面積が増えると一般に重さ(押し付け力)も比例して増加する場面が多いから、人はそのような錯覚を起こすのだがーーー。
例えば:机の上にA4の紙一枚が置いてあるとする。この表面に細いペン先を当てて紙を押し滑らせても、代わりに手のひらを紙の全面に当てて紙を押し滑らせても、「滑らせる為に必要な力」は同じなのだ。大抵の人は錯覚して、手のひらの方が強く滑らせると思いがちだ。なぜなら手のひらの方が大きいから。
筆者の発明は一般の人の錯覚の裏をかいた。逆に言えば、誰もが錯覚するからこそ誰も「非回転ワシャ」の原理に気づかなかっただけだ。




