あ~でもない・こ~でもない
だから申請書には; XXXという物理学の理論に基づいて、XXXの実験を実施して理論を技術的に立証し、最後に、世の為にXXXの役に立つーーーと結論付けなければならない。つまり「簡単な」非回転ワシャの形状を、起承転結で如何にも「難しく」見えるように「権威付け」する必要があった。
けれどもそうは言いながら、読めば誰でも理解できるように「平易に」表現しないといけない。何故なら審査官が理解出来ないなら、これまた話にならないからだ。決してニュートン力学や微積分学を使用してはならないし、かと言って理論はアインシュタインの相対論みたいに厳正でないと、これまた「ウソだ・迷信だ!」となって大衆の支持を失う。
よって、あ~でもないこ~でもないと申請書を何度も書き直した。結果的に、筆者が(弁理士の代わりに)「序文」を書かざるを得ないハメになったーーーのだ。普段からエッセイを書き慣れて、営業マンの資質もあって人をたぶらかす修練を積んでいたのが、多少とも役立ったのは言うまでもない。
製品は先に紹介した「非回転ワシャ」と後者の(ボルト頭の)「連れ回り防止ワシャ」の二種類がある。同じ原理と思うだろうが、実は異なるから少々厄介だ。前者の原理は単純だが、後者は少し専門的な知識が要る。順番として前者の単純な「非回転ワシャ」から始める。
同じ事は二度繰り返さないから、ノートとペンを用意し構えて聴いてくれ給え:
★因みに、新人が入社して来た時、ウチの会社紹介を兼ねてたまたま筆者が連れ歩いて、直接製品や設備について技術説明をする時がある。特に中年の新人は説明にフンフンとうなずく。暫く続く。それを眺めて:「君、メモを取らずに全部覚えられるのかい? 私は同じ説明を二度繰り返さないよ」
外の事を言わなくても、この一言で初日からビシッと性根が座る。年齢に関係ない。もっとも、筆者にそう言われた人間で、長続きしたのは居ないのだがーーー。給料を払うのはこっち、プロ意識のない人を筆者は嫌いだ。




