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見くびられる恐れ

12.重要な補足

 話はもうお仕舞なのだが、読者の中には技術系の人もいるかと思う。上の簡単な形状にするだけで、どうしてワシャが「非回転」となり、また結果的にボルト頭の「連れ回り防止」になるのかの原理に触れておきたい。宇宙の膨張の仕組みに並んで大切な事と思う。


 いや技術系の人でなくても、頭のトレーニングの為に是非読んで欲しい。掛け算と割り算が出来て、少し論理的な思考が出来れば理解は簡単である。実は特許の申請書にも原理と「最小限の数式」を記載している。そんな処へわざわざ数式を持ち出さざるを得なかったのは、裏に事情がある。


 というのも、「非回転」という確かな機能があるのに、ワシャの形状と来たら裏面に「僅かに凹みを付ける」だけの単純さ。最新型で作った試作品なんかは実に名人の域で、(説明を受けなければ)普通の平ワシャと見分けが付かない。目視では凹みが見分けられないほど僅かで、疑いをもって凹みを触ったら余計に疑いが深まるくらいなもので、神秘的でさえある。


 そんな風に簡単過ぎる構造が為に、一体誰がワシャの「優れた機能」を信用しようか!?である。


 他方で世には、径の大小・薄いのや厚いのやギザ付きのものなど、普通の平ワシャがゴマンとあるのだ。だから普通に申請するとその他大勢の中に混じって、「陳腐なデザインの一種」に過ぎない、と審査官に見くびられる恐れがあった。そうなると特許が成立しないのではあるまいかーーー、と恐れた。

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