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タナボタは無い

 次に、「へえ~、凄いじゃないの、宇宙人みたい。発明は確かこの1~2年で4つ目じゃないの?」と、筆者をがっかりさせない為に自分の記憶力を誇示した。

「うん、一つ目(テンションナット:商品名)は製造してもう売っているけれど、他のはどうするかなあーーー」


「最近動画を作ったあの製品は売らないのーーー、折角作ったのに? 早くやりなさいよ」と、尻を叩いた。

「そうだねえ、体が忙し過ぎるんだ、実際。ウチは小さな会社だからね、工場も無いし。合間に貴方の再婚相手も探さないといけないしさーーー」


「ねえ、いい男の人、見つかるかしらーーー?」と、女は危機感を強めた。

「再婚したいと言いながら、貴方はあまり熱心じゃないよな。本当を言うと、夢は結局自分でかなえるしかないーーー仕事でも生活でもだよ。タナボタなんて無いんだ」と、こっちは主因を挙げて言い訳した。


「次々アイデアを思いつくのは、何か理由わけがあるのーーー?」  

 そんな顔だのに不思議ねえと言わんばかりに、穴のあくほど見つめた。バクテリアか何かを眺める目だ。

「発明は顔ではやらないんだ、僕のばやい。ほら、昨今のコロナ禍の影響で会社が割と暇になったんだ。五月の連休中にも外出規制が掛かったし。予定外に時間が出来たから、暇に任せて考えたのさ」

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