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申請書つづき
(申請書のつづき)
けれども、ついに深刻な嘆きに終止符がうたれる時が来ました。待ち望んだ製品が突如現れたからです。ナットの締め緩めに際して床面を髪の毛程も傷つけない「非回転ワシャ」こそが当発明品であります。
「帰る時は来た時より綺麗な砂浜に」というのが、海水浴場の道徳的コピーですが、正しく当ワシャがコレ。取付ける前より取外した後の床面の方が一層綺麗、だからです。嘘と思うなら使ってみれば分かります。
開発に当たっては高齢の開発者が死ぬほどの苦労を味わい、多大な年月を消費し数千万円のコストを掛けました。資本金の数倍でありますから、これだけでも値打もので、新たに会社を三つは作れます。
性能は疑いも無く画期的で世の為人の為になるばかりか、広く問えばチンバンジーを含めた全類人猿たちの役にも立たないなどと誰が申せましょうや。よってーーー、特許を認可されたし。
と切々と訴えたのであるが、さあてーーー、後は弁理士の腕次第である。




