表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/1761

事の発端

2.事の発端


 概ねそんな短いスケジュールの旅であったが、今回はルールから外れて一つ例外があった。初日に神戸からホテルへ向かう途中で、福山城(=福山市)へ立ち寄った。苑内の桜が満開だろうと期待したからだ。


 シーズン中の日曜日だったから、お昼過ぎに私達が到着した時、城の駐車場へ入るのに五分間待たされた。待ち草臥れた女は早速不平を述べた:

「えらく待たせるわねえ、入るまでに寿命が尽きるじゃないの!」 若い人の五分は、高齢者には五年間に感じる。更に年上の私は、骨になるんじゃないかと心配だ。

 さて、この福山城内を見学中に、ちょっとした事件が起きた:


 この城には学芸員(♂)がおり、城内に展示されている品々の歴史を、訪れた観光客、即ち我々に説明してくれた。物知りな上に親切で城の一階から説明を始め、続いて二階・三階から最上階まで同道してくれた。私達夫婦を入れて八名が、学芸員の説明に頷きながら、ぞろぞろ彼の後ろを付いて回った次第。観光地ではよく見る風景である。


 事件は二階の武具の間で起きた:

 学芸員が展示してある戦国時代の兜を示しながら、城主水野家の歴史を話してくれた。話が面白かったから、私は:

「へえ、当時の武将は奇抜な兜を被って、自分の武功が目立つ工夫をしたんだねーーー出世の為とは言え、大変だったんだねえ!」と、大き目の地声で(=耳が遠いせい)独り言を言いつつ、直ぐ左隣に居る配偶者へ向かって、(にこやかに笑い掛けながら)同意を求めた。


 一杯のビールを水割りして分かち合う位だから、何と言っても二人は仲むつまじく、普段から対話がある。「親しげに同意を求めた」ところで、不思議はない。ところが、どっこいーーー!? そう言いつつ顔を振り向けたそこへ、配偶者は居なかった。彼女は右隣に居たのである。


 話しかけた左隣には、見も知らない「五十過ぎの女」がいた。結果として赤の他人へ、「笑い掛けながら・とても親しげ」に、話し掛けた格好になってしまった。これが事の発端。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ