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結膜炎になる
さて次に、怪しげな我が社の場合に当てはめると:
配偶者と二人でスタートした三十数年前。まめまめしく働いて、二名が増えて計4人となった頃の話である。当時の事務所は、薄暗くて何処となく後ろめたい感じのする闇市みたいな食料品マーケットの中にあった。家賃がただみたいに安かったからで、多彩な匂いが漂う中で漬物屋の隣に、五坪の手狭な一角を構えていた。
生まれたてで、日本に約十社あった同業者の中で最も貧乏だったから、何時も危機感に襲われていた。それでも余りに窮屈だったし、闇市の中なんて聞こえが悪かったから、もう少し広い処へ移りたいと思って探していた。
そんな折、157坪(520m2)の土地付きで二階建ての鉄筋コンクリートビルを紹介された。元不動産屋だった社員のつてだったが、貸間ではなく売り物件。広すぎてアフリカ大陸みたいに広大だったし、6000万円と言ったから目が眩んで結膜炎になりそうな金額。
こっちは資本金が1000万円の危機感だらけの与太会社だから、端から相手にしなかった。




