えっ? 外はそうじゃないんですか?
私の潔癖グセは経営者となった今も変わらない。金を儲けるなら正攻法でやりたいという気持ちが強い。税金(=大変高いと思いはするが)をちょろまかしてまで、会社の利益をかさ上げしようとは思わない。
小さな会社の経営者や大企業の中堅幹部にも有りがちだが、接待費名目で個人に流用したりゴルフや飲み食いを、私はようしない。もっとも本人は酒が飲めないし、ゴルフも好きじゃないから、その目的で使おうにも使えないというのが正しいかも知れない。
定期の税務監査で、接待費が「異常に少ない!」と不審がられ、「えっ? 外はそうじゃないんですか?」とこっちがびっくりすると、これを眺めた監査官が二度目をびっくりする。これも自慢ではなく、しようのないこっちの性格なのだ。
これが分かるらしく、私にお世辞使ったりお歳暮を呉れる人は社内に誰もおらず、社員の気の利かない事おびただしい。堅物で近寄りがたい社長だと社員たちは思っている風だが、面倒だから私はそんな誤解を敢えて訂正しようとは思わない。
本当は堅物どころか正反対で、むしろ並の人より柔軟性が高いと思っている。美人を見たらやたらに口説くし、自由な発想に長けて人の思い付かない発明や開発仕事もしている。冗談を聞くのも好きで、思い付くのも好き。若い頃には業界のトップセールスとしてカタカタ腕を鳴らしたから、人を口上手くたぶらかすのは慣れている。
強い潔癖症と超が付く柔軟性という正反対が自分の中に同居している。夫婦仲は大変良いのに、彼女が別に居て派手にやりまくるみたいなものだ。




